「体を壊す10大食品添加物」で添加物について学ぶ

食品添加物は多すぎるけれど、10個ピックアップするなら覚えやすい(実際には13個……)! 面白くてためになるけど鵜呑みは厳禁。添加物の是非、真偽のほどは自分で判断しましょう。

書籍「体を壊す10大食品添加物」概要

食品添加物は食べ物を長持ちさせたり、見た目をよくしたり、カロリーを減らすために使われているが、それらは消費者の体を確実に蝕んでいる。とはいえ、添加物を完全に避けるのは不可能。そこで本書では最も危険な10の食品添加物を紹介。明太子おにぎりやコンビニ弁当、カロリーオフ飲料や菓子パン、ノンアルコールビールや栄養ドリンク等々、普段口にする食品には発がん性物質や、肝臓・腎臓に悪い物質がこんなにも使われていた!食を根本から見直すきっかけになる、現代人必読の書。

「体を壊す10大食品添加物」内容紹介

  • 書名:体を壊す10大食品添加物
  • 著者:渡辺雄二
  • 出版社:幻冬舎新書
  • 発売年:2013年
  • 価格:858円(税込)

著者紹介

渡辺雄二 わたなべゆうじ

1954年生まれ。栃木県出身。千葉大学工学部合成化学化卒業。消費生活問題紙の記者をえて、八二年からフリーの科学ジャーナリストとなる。食品、環境、医療、バイオテクノロジーなどの諸問題を提起し続け、雑誌や新聞に執筆し、現在にいたる。とりわけ、食品添加物、合成洗剤、遺伝子組み換え食品に詳しい。著書に「食べてはいけない添加物 食べてもいい添加物」「食べてはいけないお弁当 食べてもいいお弁当」(ともにだいわ文庫)、「早引き・カンタン・採点できる食品添加物毒性判定辞典」(メタモル出版)、「食品添加物の危険度がわかる事典」(KKベストセラーズ)、「食べて悪い油 食べてもよい油」(静山社文庫)、ミリオンセラーとなった「買ってはいけない」(共著、金曜日)などがある。

「体を壊す10大食品添加物」より

発がん性物質に変化する発色剤・亜硝酸Na

国立がん研究センターの調査結果によると「たらこや明太子などの塩蔵魚卵を頻繁に食べている人は胃がんの発生率が2倍以上高い」とし、「亜硝酸Na」の危険性を訴えています。その理由は食材と「亜硝酸Na」が反応すると生まれるニトロソアミン類という化学物質。強い発がん性があると訴えます。

なお本書の意見とは異なるのが厚生労働省。

亜硝酸ナトリウムは、安定した食肉の色を保持する効果のほか、ボツリヌス菌をはじめとして多種類の細菌の生育を抑え、食肉製品の腐敗を防止する働きを持つなど様々な効果のある添加物として知られています。
本物質に関してはFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)において評価が行われており、発がん性については1995年及び2002年の評価において、ヒトの摂取と発がんリスクとの間に関連があるという証拠はないとされております。

内閣府 食品安全委員会より

たしかに「亜硝酸Na」自体に毒性はないのかもしれませんが問題は「亜硝酸Na」の毒性ではなく、「亜硝酸Na」が食材と化合して生まれる発がん性物質なので、少し話がそれているような気がします。2015年にWHOが厚生労働省とは反対のアクションをおこしました。

国連WHOの研究機関IARCは、2015年に加工肉を発がん性が明確であるというグループ1に指定している。肉に含まれるヘム鉄は発がん性のあるニトロソアミンの生成を促し、さらに加工肉では亜硝酸ナトリウムや硝酸ナトリウムがこれを生成する。

この分類は発癌性の確かさによるものであるため、発癌性の強さの指標ではない。加工肉では毎日50グラム食べるごとに大腸がんのリスクが18%高まるとされる。亜硝酸ナトリウムなどを使用しないハムなど加工肉は、「無塩せき」と呼ばれ中小企業の商品に多かったが、IARCの勧告を受け、大手の日本ハムも2017年に無塩せきの製品も作る方針を立てた。

Wikipedia「亜硝酸ナトリウム」より

「亜硝酸Na」についてはどうやら著者に軍配が上がりそうです。摂取基準量内であれば問題ないと考えることもできそうですが、明太子やたらこ、ハムなど肉加工食品に多く使われている発色剤の「亜硝酸Na」、要チェックです。

発がん性物質を含むカラメル色素

コーラを筆頭にソースやジュースに褐色をつけるために使われる「カラメル色素」。種類によっては発がん性物質が含まれていると著者は指摘します。

「カラメル色素」を四つに分類したⅢ・Ⅳの危険性が高いのですが、問題はⅢ・Ⅳ生産の過程で副産物として生まれる「4-メチルイミダゾール」。発がん性が確認されています。

「4-メチルイミダゾール」については安全と思われるカラメルⅠ・Ⅱを使用しても、原材料表記は「カラメル色素」として変わりません。結果、カラメル色素は避けたほうがいいというのが筆者の意見です。

一方で下記の反論も考えられます。

  • 「4-メチルイミダゾール」は肉を焼いたり、コーヒーを焙煎しても生まれる。
  • アメリカや欧州、日本の摂取量基準は1日に数百本分のコーラを飲む量に設定されている。

「4-メチルイミダゾール」の発がん性は疑いのないところですが、許容量を考えると問題は少なそう。カラメル色素はあらゆる食品に入っていますから完全回避は困難……どう判断するかは自分次第です。

発がん性や肝臓にダメージを与える心配のある合成甘味料3品目

著者は下記の合成甘味料に警鐘を鳴らします。

  • アスパルテーム
  • スクラロース
  • アセスルファムK(カリウム)

少量で甘い性質を持つため、ダイエット食品に多く使われる甘味料です。

「アスパルテーム」はタンパク質を構成するアミノ酸であるアスパラギン酸とフェニルアラニンから構成され、砂糖の200倍も甘いため、少量でも低カロリーの食品が作れます。「スクラロース」は砂糖の600倍、「アセスルファムK」は200倍もの甘さを持ちます。砂糖の百倍単位で甘い人工甘味料のすごさが分かります。

著者はシンプルに動物実験を引き合いに、人工甘味料は肝臓や腎臓にダメージを与えるとしています。一方で下記の反論はが考えられます。

  • アメリカ、欧州などで定められた許容量から判断すれば問題ない。

砂糖や塩も体に必要な栄養素ですが、摂取しすぎれば肥満や糖尿病、高血圧や心筋梗塞などの病気を引き起こします。タンパク質も脂質も、ビタミンも。あらゆる栄養素は過剰摂取で人体に色々な問題を引き起こします。

人工甘味料を塩や砂糖と同じに考えるかどうか……すべては自分次第です。

発がん性が確認されているパン生地改良剤・臭素酸カリウム

あまり聞き馴染みのない、パン生地を改良する添加物「臭素酸カリウム」です。動物実験で発がん性が認められており、WHOは発がん性物質に指定しました。

それを受けた厚生労働省は全面禁止はしませんでした。今でも山崎パンなどパン会社が「品質改善と風味向上のために」、厚生労働省の定めた基準以下の「臭素酸カリウム」を使っています。

パンを焼成すると残存量は減るらしいのですが、わずかでも発がん性物質のある食品を影響力のある大企業が販売するのは許せないと言うスタンスです。

「山崎製パンは発がん性のある臭素酸カリウムを使っているからパンがカビない」という噂も流布しました。カビに関しては臭素酸カリウムは関係ないと山崎製パンは自社HPで暗示しています。

「臭素酸カリウム」の危険性については下記のような反論が根強くあります。

  • 小麦処理剤として使用していて焼成後の残存量はごくわずかである。
  • 国際がん研究機関(IARC)による発がん性リスクでは、コーヒーや山菜のワラビも同じグループ2Bになっている。

発がん性物質であることは疑いようはないようですが、ポイントはやはり摂取量。世の中に完全安全は存在しません。摂取量の閾値をどう考えるか。すべては自分次第です。

発がん性の疑いのある合成着色料・タール色素

カレーの福神漬け、口紅に代表される着色料の「タール色素」は19世紀にドイツで開発されたものです。コールタールを原料に作られています。後にコールタールに発がん性のあることが分かり、現在は石油製品から作られていて、現在日本で見とめられている食品添加物のタール色素は全12品目です。

  • 赤色2号、3号、40号、102号、104号、105号、106号
  • 黄色4号、5号
  • 緑色3号
  • 青色1号、2号

※数字がとんでいるところは非食品添加物と思われます。

著者は添加物である「タール色素」は、自然界に存在しない化学合成物質であるから危険である。さらにアメリカで認められていない赤2号を許可している日本は危険であると警鐘を鳴らします。

考えられる反論は下記の通りです。

  • 天然由来の着色料に発がん性が発見されて使用禁止になった前例がある。

「タール色素」は歴史的にみて割と近年に禁止項目が増えている添加物。これからも見直しがされる可能性がないとは言えそうにありません。石油原料=プラスティックと考えるべきか否か。すべては……自分次第です。

発がん性と催奇形性が明らかな防カビ剤のOPPとTBZ

オレンジやグレープフルーツなど輸入果物に多く使われる防カビ剤「OPP」「TBZ」は動物実験で発がん性が確認されています。

「OPP」は本来日本では許可されていない添加物で元は農薬として使われていました。オレンジなどを輸出したいアメリカは、日本に圧力をかけて「OPP」を認可させました。

もう一つの防カビ剤「TBZ」はお腹の赤ちゃんに先天性窓外が認められたといいます。その他「イマリザル」などの新しい添加物もアメリカに迎合して認可されました著者は国民の安全をよそにアメリカに迎合する厚生労働省を糾弾しています。

これらの添加物は果肉からも検出されているので摂取しないのが無難であると著者は主張します。

ポイントはやはり摂取量。世の中に完全安全は存在しません。すべては自分次第です。

ヒト推定致死量が茶さじ1杯の殺菌料・次亜塩素酸ナトリウム

カビキラーやはいたーの主成分である「次亜塩素酸ナトリウム」は居酒屋やレストランで食材殺菌に用いられています。わずか茶さじ一杯で致死量となる恐ろしい添加物です。

洗い流せば残留しないと考えられていますが、「次亜塩素酸ナトリウム」は洗い流しても一定量が食材に残留。それは食べれば分かるはずなので、食べて違和感を感じたときは食べないようにするべきであると著者は主張します。

基準内であれば問題にないようが気がしますが、どこまで食品に残留しているかは疑えばキリがなく難しい問題です。

毒性が強く、頭痛を起こす酸化防止剤の亜硫酸塩

「亜硫酸塩」はワインの酸化防止剤として有名です。「亜硫酸塩」のひとつ二酸化硫黄は毒性があるといいます。ワインを飲むと頭痛がする人は「亜硫酸塩」が原因と考えられるため、著者は酸化防止剤が無添加のワインを推奨します。

また「亜硫酸塩」はドライフルーツなどの漂白剤に使われています。亜硫酸塩は反応性が高い為、色素に作用しては破壊して漂白するため、それだけ人間の細胞にも作用しやすいと著者は主張します。

考えられる反論として、

  • 亜硫酸塩はヒトの体及び食品の両方に天然に存在する。
  • 亜硫酸塩はいくつかの微生物によっても産生される。

が挙げられます。

ヒトに白血病を起こ化学物質に変化!合成保存料の安息香酸Na

「安息香酸Na」は栄養ドリンクや清涼飲料水などに転嫁される保存料です。水によく溶けるので水分の多い製品に使われることが多いといいます。

ビタミンCと反応すると「安息香酸Na」は人間に白血病を起こすことが明らかになったベンゼンに変化します。実際にイギリスやアメリカの商品にベンゼンから検出されました。ベンゼンは発がん性物質でもあります。

ポイントはやはり摂取量。世の中に完全安全は存在しません。すべては自分次第です。

発がん性の疑いの晴れない合成甘味料・サッカリンNa

「サッカリンNa」はアメリカで発がん性ありとして使用禁止になりましたが、のちに実験に誤りがあったとして再認可された添加物です。

にぎり寿司や歯磨き剤に用いられています。歯磨き剤でも「口をすすいでも胃の中に入っていく」ので油断はならない。歯磨き剤はなくて歯は磨けると著者は主張します。

ポイントはやはり摂取量。世の中に完全安全は存在しません。すべては自分次第です。

まとめ

添加物の闇の側面に強くスポットをあてた本なので刺激的ですが、その分「本当だろうか?」と不安になる箇所もあります。

気になるのはチクロや1968年にボストンで起きた中華料理店症候群。しかし、ググればすぐ「チクロの危険性は否定され、欧州では利用する国もあるが日米では使用禁止のまま」「中華料理店症候群にかかったことのある被験者に追試が行われ、グルタミン酸ナトリウムが原因ではないと学術的には否定された」と出てきます。

中華料理店症候群について、グルタミン酸は血管を収縮させる作用があるのは事実らしいのですが、本書は添加物の闇の部分にのみ光を当てすぎてしまっており、表現として断定はしていないのですが50年昔の風評被害を拡大するような表現にも見えてしまいます。

本書では十を超える複数の添加物が槍玉にあげられていますが、いきつくのはやっぱり「摂取許容量」の問題。人間が摂取するのは野菜や塩、砂糖など摂取量によって毒にも薬にもなるため、判断の難しいところです。今までの経緯から天然素材だからと安心できるわけでもなく、化学製品だから危ないわけでもありません。「人間が長い歴史で食べてこなかった人工添加物や悪いことが分かっている添加物は摂取しない。歯磨き粉も口に入れるだから歯磨き剤は使用しない方がいい」というのもリスクを減らす正しいスタンスに思えます。

一方で極端に添加物を回避しようとすると外食・コンビニご飯NGとなり、一人暮らしの男性はまともに生活できなくなるため、「国が定めた許容量内だから大丈夫だろう」というのも正しいスタンスです。

どちらが正しいかはこれから判明することかもしれませんが、日々アップデートされる添加物に消費者が無関心でいることは大きな健康リスクになりえます。居酒屋で「これ添加物つかってる?」とはさすがに聞きづらいですが、加工食品を買う際には必ず裏の「原材料名」を確認するよう心がけましょう。

「体を壊す10大食品添加物」表紙

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